2003年2月20日(木)実施
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【講義の概要】 代表的な閉鎖性水域である有明・八代海域は、本来陸水によって輸送される種々の物質が、物理的、化学的、生物的作用を受け、さらに潮汐などの影響の下で生態系を含む物質循環の微妙なバランスによって形作られた独特の自然環境にある。この海域における急激な環境悪化の要因には、干潟域の減少、沿岸域の開発、流域の都市化や農薬使用に伴う汚水物質の流入、河川形態の変化、大洪水に伴う土砂・汚濁物質の大量流入、台風や海流の変動による高温海水の浸入や潮流の変化、さらには地球温暖化など様々な原因が考えられるが、詳細な因果関係は不明のままである。
長年月の間に"掃き溜め"となり"疲弊している"ことに違いはない。 有明・八代海のような閉鎖性が極めて高い海域における環境は、周辺に多くの都市部や農村地域を抱えており、本来陸域からの負荷により富栄養化や汚染が進行しやすい海域である。このような海域の環境は、自然の物理・化学的作用と生態系及び人為的行為などの複雑な要素が互いに関連し、その微妙なバランスにより形成されるものであり、今日の環境悪化の原因分析と再生方策については、海域全体の物理化学的環境と生物生産過程を視野に入れた総合的取り組みが必要である。 国の委員会(農林水産省:有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(第3者委員会))においても、有明海環境悪化の要因分析と改善方策について総合的な調査・検討が行われているが、調査・研究を進めるにあたっては「何を調査するか」ではなくて「何のために調査するか」の視点が必要であり、調査結果をどのように分析・整理し、原因の究明と今後の方策に結びつけていくべきか、方針を常に明確にしながら進めることが重要である。 海域環境の改善策は、基本的には「人為的インパクトの低減」と自然環境の回復能力の再生、特に「干潟環境の回復と創造」および河川水を含めた「水質の改善」が必要である。 | |
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