地下水循環部門には、水の流動や量の解析など水の物理的側面を対象とする水文学分野だけではなく、水質を評価、解析する水環境分野、水と農業との関係を対象とする農業土木と言われる分野、さらには生物学的水処理を対象とする衛生工学分野、生物生産につながる水循環と物質循環との関係を取り扱う研究分野に関わる研究者がいます。

　熊本の水循環は、山から海、分かりやすい例で言えば、阿蘇山から有明海にかけての表流水と地下水の連携に、人間が織りなす農業活動とが絶妙なバランスを維持しながら関わることで成り立っています。すなわち、地下水循環の研究は、幅広い分野の研究者と専門的知識、および研究成果が連携することで推進されるものです。

　一方、地下水は表流水とは違って、その流れも量も変化も、簡単に見ることはできません。さらに、水質を明らかにするために地下水を採水することも容易ではありません。井戸を掘るのは多大な費用を要することから、採水については、既存の井戸、すなわち水道水源などの飲用水用の井戸など、行政、自治体が管理されている井戸に頼らない側面が大きくなります。すなわち、地下水循環部門の研究を進めるにあたっては、行政や市民皆様のご協力とご支援が不可欠です。

　我々、地下水循環部門は、研究活動による学術的貢献にとどまらず、得られた研究成果を地域や社会に還元し、貢献することも一つの使命と考えております。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。